SUNNY BUILDING 入居中 - - - - - - - - 空 室 稼働率 75% 1区画空室あり 売却? 持ち続ける? いくらで売れる? テナントビルの売却・活用ガイド 〜 一棟ビルオーナー様のための価格・利回り・手順の基本 〜

テナントビルの売却完全ガイド|利回り・レントロール・税金・7ステップをプロが解説

QUICK ANSWER ─ この記事が答える問い

テナントビルを売却するには、何をどう進めればよいか?

テナントビルの売却価格は「年間賃料収入÷利回り」で決まるのが基本です。買い手は主に不動産投資家であるため、レントロール(賃料明細)の整備が売却の成否を大きく左右します。売却・賃貸継続・買取・建替えの4つの選択肢を比較し、7つのステップで進めます。譲渡所得税は所有5年超で目安として約20%、5年以下で約39%と大きく異なるため、売却時期の見極めも重要です。

相続や長年の賃貸経営で所有してきたテナントビル。空室が増えてきた、修繕費がかさんできた、後継者がいない——そういった状況から「そろそろ手放すことを考えたい」というオーナーの方が増えています。

しかし、テナントビルの売却は住居用マンションや一戸建てとは仕組みが大きく異なります。価格の決まり方、買い手の探し方、税金の計算まで、知らずに進めると思わぬ損をすることがあります。

この記事では、次の3点を分かりやすくお伝えします。

  • テナントビルの価格が決まる仕組みとレントロールの重要性
  • 売却・賃貸継続・買取など4つの選択肢の比較
  • 税金・手順・業者選びの実務ポイント

結論サマリー5つのポイント

  • テナントビルの価格は「年間賃料÷利回り」で決まる
  • レントロールの整備が売却価格と交渉力を左右する
  • 空室が多い物件ほど早期に動き出すことが手残りを守るコツ
  • 譲渡所得税は所有5年超で約20%、5年以下で約39%(目安)
  • 複数社への査定依頼と比較が後悔しない売却の第一歩

この記事でわかること

  • テナントビルの定義と、区分所有・住居用ビルとの違い
  • 価格の決まり方(表面利回り・実質利回り・積算評価)
  • レントロールの見方と、売却前に整えるべきこと
  • 空室・老朽化・相続など4つの典型的な悩みと対処法
  • 売却・賃貸継続・買取・建替えの4択比較早見表
  • 売却の7ステップと各段階で押さえるポイント
  • 譲渡所得税・消費税・相続特例の基礎知識
  • 信頼できる業者の見極め方7項目
  • よくある質問10問への回答

テナントビルとは?定義・種類・一棟ビルの基礎知識

結論から言うと、テナントビルとは複数の区画を外部の借り手(テナント)に賃貸するための商業・事務所系建物で、一棟の所有権がひとつのオーナーに帰属する不動産です。買い手は収益性を重視するため、価格の考え方が住居用とは根本的に異なります。

テナントビルの基本的な定義

【テナントビルとは】
主に法人・個人事業主などのテナントを入居させることを目的とした商業ビル・事務所ビル・複合ビルの総称。一棟全体の所有権と土地の所有権がひとりのオーナーに帰属し、建物の管理・改修・売却を自己の判断で行える点が区分所有と大きく異なります。用途は飲食店・物販店・事務所・クリニックなど多様です。

テナントビルは「収益物件」として取引されます。買い手の多くは不動産投資家や資産管理法人であり、「この物件はいくらの収益を生むか」という収益性の観点から価格が決まります。そのため、住居用不動産の売却とはアプローチが根本的に異なります。

一棟ビルの最大の特徴は、経営の自由度の高さです。修繕・リノベーション・テナント入替え・建て替えなど、すべてオーナーの判断で実行できます。区分所有のように管理組合の合意を得る必要がない点は大きなメリットです。一方で、建物全体の維持管理コストと責任がすべてオーナーにかかってくる点は留意が必要です。

テナントビルの主な種類

種類 主な用途 主な買い手 価格の特徴
路面店舗ビル 飲食・物販・サービス業 個人投資家・法人 立地・賃料水準が支配的
事務所ビル オフィス・士業・IT系 投資法人・事業法人 フロア効率・設備水準が重要
複合ビル 1F店舗+上層オフィス/住居 幅広い投資家層 複合収益の安定性が評価される
医療・クリニックビル 診療所・調剤薬局など 専門投資家・医療法人 長期安定テナントで高評価になりやすい

区分所有との違い

同じビルでも、一棟所有と区分所有では売却の進め方が大きく異なります。一棟ビルはオーナーが建物・土地の全権を持つため、まとめて売却できます。テナントへの対応・修繕判断・売却判断もすべて自己完結します。

区分所有の場合は管理組合の決議が必要な事項があり、売却時も区分ごとの売却となります。一棟売りのほうが投資家向けにまとまった規模の資産として売り出せるため、買い手の絞り込みがしやすい傾向にあります。区分店舗の売却については「区分店舗の売却完全ガイド」もあわせてご覧ください。

「旧耐震」物件の扱い

1981年(昭和56年)5月以前に建築確認を受けた建物は旧耐震基準(旧耐震)が適用されています。旧耐震のテナントビルは、金融機関からの融資が付きにくい傾向があり、買い手が現金購入層に限定されやすくなります。耐震診断の結果を取得しておくと、売却交渉の材料になることがあります。耐震性能の法的判断については、弁護士や建築士にご相談ください。

価格はどう決まる?利回り計算とレントロールの重要性

結論から言うと、テナントビルの価格は「収益還元法(年間賃料÷利回り)」が中心となります。レントロールの内容が価格の裏付けとなるため、売却前の整備が不可欠です。

収益還元法による価格計算

売却想定価格 = 年間賃料収入 ÷ 想定利回り
例)年間賃料1,200万円 ÷ 利回り6% = 売却想定価格 2億円(目安)

テナントビルの買い手は「この物件に投資して何%の利回りが得られるか」を最重視します。利回りが高いほど価格は下がり、利回りが低いほど価格は上がるという逆の関係にある点を押さえておきましょう。

利回りの種類 計算式 特徴・注意点
表面利回り 年間賃料収入÷物件価格×100 経費を含まない。広告では表面利回りが使われることが多い
実質利回り(NOI利回り) (年間賃料-経費)÷物件価格×100 固定資産税・管理費・修繕費を差し引いた実態に近い指標
積算評価 土地評価額+建物再調達価格×残存率 金融機関の融資評価に使われる。築古は建物評価が低くなりやすい

レントロールとは何か

【レントロールとは】
建物内の全テナントについて、区画番号・入居テナント名・契約面積・月額賃料・契約開始日・契約終了日・敷金・保証金などを一覧にした賃料明細表のことです。テナントビルの売却では、買い手が最初に確認を求める最重要書類のひとつです。

レントロールは、その建物が「安定した収益を生んでいるか」を示す証拠書類です。賃料の滞納がない、長期契約のテナントが多い、相場と乖離のない賃料設定——これらが揃っているレントロールは、売却価格の維持と交渉のスムーズさにつながります。

逆に、レントロールが整備されていない、賃料の滞納が多い、相場より著しく高い(または低い)賃料のテナントがいるという場合は、買い手から減額交渉を受けやすくなります。売却前に税理士と連携しながらレントロールの内容を確認・整理しておきましょう。

価格に影響する5つの評価ポイント

  1. 立地・商圏 — 駅からの距離・人通り・周辺の商業集積度。これが価格の最大変数
  2. 稼働率と賃料水準 — 空室が多いほど収益が下がり、価格に直結する
  3. テナントの質・契約期間 — 大手法人が長期入居していると評価が上がりやすい
  4. 築年数と建物の状態 — 旧耐震・外壁劣化・設備老朽化は減額要因になる
  5. 土地の広さと容積率 — 建替えポテンシャルが高い土地は開発業者の評価も高くなる

テナントビルオーナーが直面する4つの典型的な悩みと対処法

ポイントは4つ。「空室増加・修繕費の増大・相続・融資の重さ」のいずれも、早めに情報収集を始めることで選択肢が広がります。

悩み①:空室が増えて収益が落ちてきた

テナントが退去し、新たな入居者がなかなか見つからない——そういった状況が続くと、固定資産税・修繕積立・ローン返済だけがかさんでいきます。一棟ビルの場合、全室空室になれば収益はゼロになるリスクがある点が区分所有と大きく異なります。空室対策については賃料の見直し・用途変更・リノベーションなどが選択肢ですが、費用対効果の試算を行ってから判断することが重要です。

悩み②:修繕費が増大し、長期修繕計画が重荷になっている

外壁塗装・屋上防水・電気設備・エレベーターのメンテナンスなど、一棟ビルの維持管理費は年々増大します。目安として築20年を超えると大規模修繕の時期が来ることが多く、数百万〜数千万円単位の出費が想定されます。修繕を先送りにすると建物価値が下がり、売却価格にも影響します。早めに修繕計画と売却の損得を比較することをおすすめします。

悩み③:相続で取得したが管理が負担で手放したい

親から相続したテナントビルを、管理の手間や維持コストの観点から手放したいというご相談は多くあります。相続物件の場合は取得費の把握が難しいことがあり、税務上の処理も複雑になります。

相続登記が未了の場合は2024年4月からの義務化に注意が必要です。また相続人が複数いる場合は全員の合意が売却の前提となります。早めに税理士・弁護士にご相談ください。

悩み④:融資の返済が重く、キャッシュフローが回らない

購入時に融資を活用した場合、空室増加で賃料収入が減少しても毎月の返済は続きます。「収入より支出が多い」状態が続くと、売却を急がざるを得ない状況になることもあります。そうなる前に、早めに複数の不動産会社に相談して価格感を把握しておくことが大切です。

テナントビルの4つの選択肢|売却・賃貸継続・買取・建替えを比較

選択肢は大きく4つ。「仲介売却・賃貸継続・業者買取・建替え」のどれが最適かは、稼働率・築年数・資金状況・売却の急ぎ度によって変わります。
選択肢 メリット デメリット 向いている方
①仲介売却 市場価格での売却を目指せる 3〜6か月以上かかることがある 時間に余裕があり価格重視の方
②賃貸継続 安定収益を維持できる 空室リスク・修繕コストが続く 稼働率が高く収益が安定している方
③業者買取 1〜2か月で現金化できる 仲介より価格が低くなりやすい 早期に手放したい方・空室物件の方
④建替え・再開発 収益性を大幅に改善できる可能性 多額の資金と時間が必要。テナント退去も必要 資金力があり長期保有で収益改善を目指す方

「稼働率」で選択肢を絞る考え方

稼働率が高く(目安として80%以上)、長期入居テナントが多い物件は、収益物件として投資家に売り出すのが最も評価を得やすい状態です。一方で稼働率が低い(目安として60%未満)物件は、買い手が空室のリスクを価格に織り込んで交渉してくる傾向があります。

売却を急ぐ必要があり、かつ稼働率が低い場合は業者買取が現実的な選択肢になります。どちらが手残り額として有利かは、税理士と不動産会社の両方から試算を取ることで判断しやすくなります。

建替え・用途変更を検討する場合

老朽化した一棟ビルを解体・建替えし、新たな収益物件として再生する選択肢もあります。ただし解体・建設費用と、新築後の収益性のバランスを慎重に試算することが大切です。建替え期間中はテナントに退去してもらう必要があり、立退き料の交渉も発生します。

用途変更(事務所ビル→住居用マンション・シェアハウスなど)は建築基準法・消防法の規制が関わるため、弁護士や建築士にご相談ください。

テナントビルの売却手順|初めてでも迷わない7ステップ

結論から言うと、テナントビルの売却は「書類整備→査定→媒介契約→販売→交渉→契約→決済」の7ステップで進めます。全体で3〜6か月が目安です。
  1. 現状把握と書類整備 — 登記簿謄本・固定資産税通知書・賃貸借契約書・レントロール・修繕履歴を整理する
  2. 専門家への事前相談 — 税理士に税務確認(譲渡所得税・消費税)、弁護士に権利関係・契約内容の確認を依頼する
  3. 複数社への査定依頼 — 事業用不動産実績のある会社を目安として3社に依頼。根拠の説明を求める
  4. 媒介契約の締結 — 専属専任・専任・一般の3種類から選び、販売戦略を確認してから契約する
  5. 販売活動・内覧対応 — レインズ・投資家向け媒体・自社ネットワークで買い手を探す。内覧にはレントロールを準備して臨む
  6. 売買契約の締結 — 買付証明書受領後、価格・引渡し条件を交渉。契約書の内容は弁護士に確認してもらうことを推奨
  7. 決済・引渡し — 残代金受領・所有権移転登記・固定資産税精算・賃貸借契約の地位承継(オーナーチェンジ)の手続きを行う

ステップ1:レントロールを「売れる状態」に整える

売却前にレントロールを整備することは、価格を守る最重要作業です。具体的には次の点を確認しましょう。

  • 全テナントの賃料・契約期間・敷金の一覧が最新状態か
  • 賃料の滞納がないか(あれば解消する、または買い手に正確に開示する)
  • 賃料が周辺相場と大きく乖離していないか
  • 契約書の原本が揃っているか
  • 空室区画の募集条件が明確になっているか

レントロールに不透明な点があると、買い手から大幅な値引き交渉を受けることがあります。事前に税理士と連携して内容を整理しておくことが、手残り額を最大化するコツです。

ステップ6〜7:契約・決済で押さえること

テナントビルの売買契約では、買い手に対して重要事項説明書の中でテナントの状況・修繕の状況・建物の不具合を正確に説明する義務があります。知っている不具合を隠すと、引渡し後に契約不適合責任を問われるリスクがあります。契約書の特約条項については弁護士にご確認ください。

決済日にはオーナーチェンジとして、賃貸借契約における賃貸人(貸主)の地位を新オーナーに移転します。敷金・保証金の預かり引継ぎも行います。テナントへの賃貸人変更通知は書面で行うのが望ましいです。

テナントビルを売却する前に確認すべき5つの注意点

結論から言うと、注意点は5つ。「賃料滞納・テナントへの通知・アスベスト・融資残高・契約不適合責任」を事前に確認することで、売却後のトラブルを大幅に防げます。

注意点1:テナントの賃料滞納を事前に解消しておく

売却後に賃料滞納が発覚すると、買い手から損害賠償を請求されるリスクがあります。売却前に全テナントの入金状況を確認し、滞納がある場合は解消または正確に開示しましょう。

注意点2:テナントへの通知タイミング

オーナーチェンジの際、テナントへの通知タイミングは慎重に判断しましょう。売却活動中に通知してテナントが退去を決めると、稼働率が下がって価格に影響することがあります。一般的には売買契約後・決済前のタイミングで書面で通知します。通知の方法と時期については弁護士にご相談ください。

注意点3:アスベスト(石綿)調査の確認

2006年以前の建材にはアスベストが使用されていることがあります。売却時の重要事項説明では石綿使用の有無に関する調査結果の記録の有無の説明が必要です。解体を予定している場合は2022年の改正大気汚染防止法に基づく事前調査義務があります。弁護士・建築士に確認しておきましょう。

※アスベスト・建築法規の詳細は弁護士または建築士にご相談ください
調査義務の範囲・手続きは物件の規模・構造・解体方法によって異なります。個別の判断が必要です。

注意点4:融資残高と抵当権の抹消

融資残高がある場合、売却代金から一括返済して抵当権を抹消する必要があります。残債が売却価格を上回る「オーバーローン」の場合は、自己資金での補填か、金融機関との事前交渉が必要になります。融資残高は早めに金融機関に確認しておきましょう。

注意点5:契約不適合責任の範囲を明確にする

建物の雨漏り・設備の不具合・境界の問題など、知っている不具合はすべて告知書に記載しましょう。2020年の民法改正により、引渡し後も売主の責任が問われやすくなっています。告知の範囲と特約条項は弁護士にご確認いただくことを強くおすすめします。

テナントビルの売却はどこに頼む?業者選びの7つのチェックポイント

結論から言うと、事業用不動産・収益物件の取り扱い実績が豊富な会社を選ぶことが最重要です。以下の7項目で複数社を比較してから決めましょう。
  1. 事業用・一棟ビルの売却実績が豊富か — 住居専門の会社とは投資家ネットワーク・ノウハウが根本的に異なります
  2. 査定価格の根拠が「利回り・レントロール・近隣事例」で説明されているか — 根拠のない高額査定は要注意です
  3. 不動産投資家・法人向けのネットワークがあるか — テナントビルの買い手は投資家が中心です
  4. 具体的な販売戦略の提案があるか — 「どの媒体に・どんな買い手に・どの価格帯で」が明示されているか確認しましょう
  5. 仲介手数料の説明が明瞭か — 上限は「売買価格×3%+6万円+消費税」(売買価格400万円超の場合)です
  6. 税理士・弁護士と連携できる体制があるか — 税引後の手残り額まで試算してもらえると安心です
  7. レスポンスが早く、説明がわかりやすいか — 問い合わせへの対応速度と誠実さは信頼の指標になります

「査定額が一番高かったから」という理由だけで会社を選ぶのは危険です。高い査定額を提示して媒介契約を取り、その後値下げを繰り返す——そういったケースも起こります。査定額とともに、根拠となる成約事例・利回り水準を必ずセットで確認しましょう。

テナントビルの売却でかかる税金|譲渡所得税・消費税・相続の扱い

結論から言うと、売却益が出た場合は譲渡所得税・住民税がかかります。所有5年超か以下かで税率が大きく変わるため、売却のタイミングについて必ず税理士にご相談ください。

譲渡所得の計算構造

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
※取得費:購入価格から減価償却費を差し引いた金額
※譲渡費用:仲介手数料・測量費など売却に直接かかった費用
※建物の減価償却が進んでいると取得費が小さくなり、譲渡所得が大きくなることがあります

所有期間による税率の違い

区分 所有期間 税率(所得税+住民税+復興特別所得税)
短期譲渡所得 5年以下 目安として約39.63%
長期譲渡所得 5年超 目安として約20.315%

※所有期間の判定は「売却した年の1月1日時点」で行います。相続で取得した場合は被相続人の取得時期を引き継ぐのが原則です。詳細は税理士にご確認ください。

※税金の詳細は必ず税理士にご相談ください
所有期間の起算点・減価償却の計算・相続物件の取得費の扱いなど、個別の事情によって税額が大きく変わります。自己判断での処理はリスクが伴います。

消費税の扱い

テナントビルの売却では、土地の譲渡は消費税が非課税ですが、建物部分は消費税がかかります。個人オーナーであっても、過去2年間の課税売上が1,000万円を超える課税事業者に該当する場合は消費税の納付義務が生じます。インボイス制度の登録状況によっても扱いが変わるため、税理士に必ずご確認ください。

相続で取得した場合の注意点

相続で取得したテナントビルを売却する場合、取得費は被相続人が購入したときの費用を引き継ぐのが原則です。当時の売買契約書が見つからない場合は売却価格の5%を概算取得費とする方法がありますが、税額が大きくなることがあります。税理士に相談して代替的な立証方法を探しましょう。

また、法人でテナントビルを保有している場合は法人税の扱いになります。個人と法人では税率・計算方法が異なるため、必ず税理士にご相談ください。

■ 税務・法務に関するご注意

【税務 — 税理士にご相談ください】

  • 建物の減価償却額の計算と取得費への影響
  • 相続取得費が不明な場合の立証方法
  • 消費税の課税事業者判定とインボイス制度との関係
  • 法人保有物件の売却に伴う法人税の計算
  • 売却タイミングによる所有期間の判定と税率の差

【法務 — 弁護士にご相談ください】

  • テナントへの通知タイミングと方法
  • 立退き料の交渉が必要な場合の対応
  • 売買契約書の特約条項と契約不適合責任の範囲
  • 相続登記が未了の場合の手続きと期限
  • アスベスト調査義務と建築法規の解釈

テナントビルの売却に関するよくある質問10選【Q&A】

売却を検討するオーナーの方から多く寄せられる質問をまとめました。各回答はあくまで一般的な情報です。個別のご事情については専門家にご相談ください。
Q1. テナントビルはどんな人が買ってくれますか?
主な買い手は不動産投資家・資産管理法人・ファミリーオフィスです。テナントが安定入居中の物件は収益物件として評価され、投資家に好まれます。立地がよく容積率に余裕がある物件は開発業者が関心を持つこともあります。
Q2. 空室が多い状態でも売却できますか?
売却は可能ですが、空室が多いほど収益ベースで評価が下がり、価格は低くなりやすい傾向にあります。業者買取であれば空室が多い状態でも短期間で現金化できることがあります。「空室を埋めてから売る」ことが有利かどうかは、コストと期間の試算を踏まえて判断しましょう。
Q3. テナントに知らせずに売却できますか?
売却活動中はテナントに通知しないことが一般的です。ただし、売買契約が成立し決済前の段階で、賃貸人の地位が移転する旨をテナントへ書面で通知することが必要です。通知のタイミングと方法は弁護士にご相談ください。
Q4. 売却期間はどのくらいかかりますか?
仲介売却の場合、目安として3〜6か月が一般的です。旧耐震・空室多数・権利関係が複雑な物件は1年以上かかることもあります。業者買取であれば数週間〜1〜2か月で完了することもあります。
Q5. レントロールがない場合はどうすればいいですか?
賃貸借契約書から情報を拾い起こしてレントロールを作成することができます。不動産会社や税理士に協力を依頼すれば整備できます。レントロールが整っていないまま売却に出すと、買い手に不信感を与え交渉が難航することがあるため、準備しておくことをおすすめします。
Q6. 売却前に修繕した方が高く売れますか?
修繕費用を上回る価格アップが見込めるかどうかで判断します。外壁塗装・共用部の清掃など比較的費用の小さい修繕は印象改善に効果がある場合もあります。一方で大規模修繕は費用対効果を慎重に試算してから判断することをおすすめします。まず現況で査定を受けてから判断しましょう。
Q7. 法人名義のビルを売却するときの税金は?
法人が不動産を売却した場合の売却益は法人税の対象となります。個人の場合の譲渡所得税とは計算方法・税率が異なります。法人の状況(資本金・繰越欠損金など)によっても手残り額が変わります。必ず税理士にご相談ください。
Q8. 融資が残っているビルでも売却できますか?
売却代金で融資を一括返済することが一般的です。残債が売却価格を下回っていれば(アンダーローン)、問題なく進められます。残債が売却価格を上回る(オーバーローン)場合は金融機関との事前協議が必要です。早めに金融機関と残高・繰上げ返済条件を確認しておきましょう。
Q9. 仲介手数料はいくらかかりますか?
売買価格が400万円を超える場合の法定上限は「売買価格×3%+6万円+消費税」です。たとえば売却価格が1億円の場合は目安として330万円(税込)となります。業者買取の場合は仲介手数料はかかりませんが、その分価格が低くなりやすい傾向にあります。
Q10. 複数社に査定を依頼してもよいですか?
複数社への査定依頼はむしろ推奨されます。目安として3社程度に依頼することで、価格の相場感と各社の提案内容を比較できます。事業用不動産に実績のある会社を選んで依頼することが重要です。査定は基本的に無料です。

まとめ|テナントビルの売却は「レントロール整備」と「複数社比較」が成功の鍵

テナントビルの売却は、住居用不動産と比べて専門性が高く、収益性の把握・書類整備・税務対策がそれぞれ重要です。早めに動き出すほど選択肢が多く残ります。

本記事の要点を改めて整理します。

  1. 価格は「年間賃料÷利回り」で決まる。収益性が価格の中心
  2. レントロールを整備することが価格を守る最重要作業
  3. 選択肢は4つ。稼働率・急ぎ度・資金状況で判断する
  4. 税金は早めに税理士へ。所有5年超か以下かで税率が2倍近く変わる
  5. 業者は事業用実績を確認し複数社を比較。査定根拠の説明を必ず求める

次の一歩として

「今のビルがいくらで売れるか知りたい」「空室を抱えたまま売れるか確認したい」「相続したビルをどうすればいいか迷っている」——そういった段階でも、まず複数の専門家に話を聞いてみることをおすすめします。情報収集だけなら費用はかかりません。

急がず、比較して判断する

テナントビルの売却で後悔するケースの多くは「1社だけに相談して決めてしまった」というものです。査定額も販売戦略も会社によって異なります。複数社の提案を比較した上で、税引後の手残り額まで確認してから判断することが、納得のいく結果につながります。

話だけ聞いてみたい、そうしたご相談も多くあります。ご家族と一緒にご相談いただくことも可能です。事業用物件専門のサービスを活用して、まずは情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。

テナントビルの売却・活用、まずはご相談から

一棟ビル・空室物件・旧耐震・相続案件など、扱いの難しい物件のご相談も多くあります。
事業用不動産専門だからこそ、複数の選択肢を一緒に整理できます。
話だけ聞いてみたい、そうしたご相談も歓迎いたします。

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