売却 事業用不動産の売却ガイド 〜 個人オーナー様のための基本と進め方 〜

事業用不動産の売却完全ガイド|相場・税金・進め方を専門会社が解説

最終更新日:2026年4月23日 | カテゴリー:事業用不動産売却

この記事の結論

事業用不動産の売却は、収益性で価格が決まるのが居住用との大きな違いです。一般的に「年間家賃 ÷ 想定利回り」で価格が算出されます。4つの売却方法(一般仲介・買取・オーナーチェンジ・解体)から、急ぎ具合と手残り重視で選び、7つのステップで約3〜6ヶ月かけて進めます。譲渡所得税は所有5年超で約20%、5年以下で約39%と大きく変わるため、売却タイミングの判断が重要です。

長年お持ちの事業用ビル、テナントビル、区分店舗、店舗付き住宅について「そろそろ手放すべきだろうか」と考え始める時期は、どなたにも訪れます。相続、ご自身の引退、空室の増加など、きっかけはさまざまです。

ただ、事業用不動産の売却は、ご自宅などの居住用とは仕組みがかなり違います。知らずに進めると、思わぬ損をしてしまうこともあります。

この記事では、次の3点を分かりやすくお伝えします。

  • 事業用不動産と居住用不動産の違い
  • 相場・税金・売却手順の基礎
  • 個人オーナーが気をつけたい失敗事例

結論サマリー(5つのポイント)

  • 事業用不動産は「収益」で価値が決まる(家賃 ÷ 利回り)
  • 譲渡所得税は所有5年超で約20%、5年以下で約39%
  • 消費税は建物部分にかかる場合がある(土地は非課税)
  • 売却方法は4つ。急ぎ具合と手残り重視で選ぶ
  • 売却完了まで約3〜6ヶ月。早めの準備が選択肢を広げる

そもそも事業用不動産とは?居住用との違い

📍 このセクションの結論:事業用不動産とは収益を生む目的の不動産で、居住用との最大の違いは「収益で価格が決まる」点です。

事業用不動産とは、収益を生む目的で使われる不動産のことです。住むためではなく、貸して家賃を得たり、店舗や事務所として使ったりする物件を指します。

事業用不動産の主な種類

代表的なものは次の4つです。

種類 具体例 特徴
1棟ビルテナントビル、雑居ビル複数の区画を貸している
区分所有区分店舗、区分事務所フロア単位・部屋単位で所有
店舗付き住宅1階が店舗、2階が自宅住居と事業用途が混在
駐車場・その他月極駐車場、倉庫土地活用型が中心

居住用不動産と事業用不動産の価格決定の違い

一番の違いは、価格の決まり方です。下の図をご覧ください。

価格の決まり方が根本的に違います 居住用不動産 「近所はいくらで売れた?」 取引事例による比較 事業用不動産 「いくら家賃を生む?」 年間家賃 500万円 利回り 8% 価格の目安 6,250万円

居住用は「近隣の取引事例」で値段が決まることが多いのですが、事業用不動産は「その物件がどれだけ家賃を生むか」で価格が決まります

たとえば年間家賃が500万円の物件で、その地域の利回りが8%なら、目安となる価格は 500万円 ÷ 8% = 6,250万円 となります。

※利回りとは、投資した金額に対する1年間の家賃収入の割合のことです。

もう一つ大きな違いは、税金の扱いです。事業用不動産には消費税が関わる場合があります。土地には消費税がかかりませんが、建物部分には課税される可能性があります。くわしくは後ほど触れます。

個人オーナーが売却で直面する3つの悩み

📍 このセクションの結論:事業用不動産売却の主な悩みは、相場の不透明さ、テナント対応、税金計算の複雑さの3つです。

ケース1:事業用不動産の相場がまったく分からない

事業用不動産は取引事例が少なく、ネットで調べても「うちの物件はいくらなのか」が見えにくいのが実情です。

近所のビルが売りに出されていても、築年数・延床面積・入居率が違えば、参考にはなりません。同じ通り沿いのビルでも、価格が2倍違うこともあります。

ケース2:入居者(テナント)との関係に迷う

テナントが入っている場合、「入居者がいる状態のまま売るのか」「退去してもらってから売るのか」で、売り方も売れる価格も変わります。

入居者がいる状態のまま売ることをオーナーチェンジと呼びます。買主は家賃収入をそのまま引き継げるため、収益物件として評価されやすくなります。

ケース3:税金や諸費用が読みにくい

売却して手元に残る金額は、売却価格から税金や費用を引いた額です。事業用では次のような費用・税金が関係します。

  • 譲渡所得税・住民税(売却益に対する税金)
  • 消費税(建物部分に課税される可能性あり)
  • 仲介手数料(売買価格の3%+6万円+消費税が上限)
  • 登記費用、印紙税 など

税金は所有期間や減価償却の状況で計算が変わります。正確な金額は、必ず税理士にご確認ください。

事業用不動産の売却方法|4つの選択肢と判断基準

📍 このセクションの結論:事業用不動産の売却方法は、一般仲介・買取・オーナーチェンジ・解体の4つ。急ぎ具合・手残り・物件状態で選びます。

事業用不動産の「出口」には、主に4つの選択肢があります。急ぎ具合とご希望によって、適した方法は変わります。

一般仲介 時間をかけて 高値を狙いたい方向け 3〜6ヶ月 買取業者へ売却 早く現金化したい 方向け 1〜2ヶ月 オーナーチェンジ 入居者が 安定している物件向け 収益重視 解体→土地売却 築古で立地が 良い物件向け 解体費要

判断の軸は大きく3つです。

  1. 急ぎか、時間に余裕があるか
  2. 手残り金額を最大化したいか、手間を減らしたいか
  3. 建物の築年数と状態(耐震基準、老朽化度合い)

とくに「早期に確実な現金化を優先したい」場合は、買取専門会社への直接売却が選択肢になります。事業用不動産専門の買取は、一般の不動産会社では対応できないケースも多く、専門業者を選ぶことが重要です。

ここで言う「耐震基準」とは、建築基準法の耐震規定のことです。下の図のように、1981年6月を境に新旧が分かれます。

耐震基準は1981年6月が分かれ目 1981年6月 旧耐震基準 新耐震基準 融資が付きにくく、売却価格が 抑えられる傾向があります 融資が通りやすく、 評価されやすい物件です

事業用不動産の売却の流れ|7つのステップ

📍 このセクションの結論:書類整理→査定→方針決定→媒介契約→販売活動→売買契約→引渡しの7段階。全体で3〜6ヶ月が目安です。

一般的な売却の流れは次のとおりです。全体で3〜6ヶ月ほどが目安になります。

1 現状整理:権利関係、賃貸借契約、ローン残債、固定資産税の書類を集める 2 相場調査:複数の不動産会社に査定依頼し、根拠を比較する 3 売却方針の決定:仲介か買取か、オーナーチェンジか空室渡しかを決める 4 媒介契約の締結:専属専任・専任・一般の3種類から選ぶ 5 販売活動:広告掲載、買主探し、内覧対応 6 売買契約の締結:契約書を精査し、手付金を受領 7 引渡し・決済:残代金受領、登記移転、鍵の引き渡し

売買契約から決済までは、通常1〜3ヶ月ほどかかります。ローン残債がある場合は、抵当権抹消の手続きも並行して進めます。

事業用不動産売却の注意点・失敗事例

📍 このセクションの結論:典型的な失敗は「査定額だけで業者選び」「テナントトラブル放置」「税金の見積もり甘さ」の3つです。

失敗例1:査定額の高さだけで業者を決めてしまった

「他社より500万円高い査定を出してきたから」という理由で契約したものの、3ヶ月経っても買主が決まらず、結局大幅に値下げして売却したケースは少なくありません。査定額は、家賃水準・利回り・近隣の成約事例とセットで確認することが大切です。

失敗例2:テナントとのトラブルを引きずったまま売却

未払い家賃や修繕交渉を残したまま売却を進めると、買主との契約直前で問題が発覚し、破談になることがあります。賃貸借契約書、家賃の入金履歴、過去の修繕履歴を整理しておくと、スムーズに進みます。

失敗例3:税金の想定が甘く、手残りが思ったより少なかった

売却益には、譲渡所得税・住民税がかかります。所有期間が5年を超えていれば「長期譲渡」、5年以下なら「短期譲渡」に区分され、税率が大きく変わります。

  • 短期譲渡(所有5年以下):税率 約39%
  • 長期譲渡(所有5年超):税率 約20%

※いずれも所得税と住民税の合計概算です。具体的な税額は必ず税理士にご相談ください。

事業用不動産の売却に関するよくある質問

Q1. 事業用不動産はどのくらいの期間で売れますか?
物件の条件にもよりますが、一般仲介で3〜6ヶ月、買取業者なら1〜2ヶ月が目安です。築古物件や再建築不可の物件は、さらに時間がかかる場合があります。
Q2. 相続した事業用不動産もすぐに売却できますか?
相続登記(名義を相続人に変更する手続き)を済ませないと売却できません。2024年4月から相続登記は義務化されましたので、早めの手続きをおすすめします。
Q3. オーナーチェンジと空室渡し、どちらが有利ですか?
一概には言えません。家賃が相場より高く安定している場合はオーナーチェンジが有利です。逆に家賃が相場より安く、立地が良い場合は、空室にしてから売るほうが高値が付くこともあります。
Q4. 住宅ローンが残っている店舗付き住宅は売れますか?
売却代金でローンを完済できれば問題ありません。完済できない場合は、差額を自己資金で補うか、金融機関との相談が必要です。店舗部分の割合などによって扱いが変わるため、早めに確認されることをおすすめします。
Q5. 事業用不動産の売却に消費税はかかりますか?
個人の売主でも、事業用不動産で、かつ過去の売上状況によっては課税事業者と判定され、建物部分に消費税がかかる場合があります。土地には消費税はかかりません。判断は税理士にご相談ください。

まとめ|事業用不動産の売却で押さえたい5つのこと

事業用不動産の売却は、判断材料が多く、金額も大きな取引です。最後に要点を整理します。

  1. 事業用不動産は「収益」で価格が決まる
  2. 居住用と違い、税金・消費税の計算が複雑
  3. 売却方法は4つ。急ぎ具合と手残りで選ぶ
  4. 入居者の有無(オーナーチェンジか空室か)で戦略が変わる
  5. 早めの準備と信頼できる相談先を見つけることが成功のカギ

焦らず、情報を整理しながら進めていきましょう。事業用不動産は専門性の高い取引です。とくに買取による早期現金化を検討される場合は、事業用に特化した会社を選ばれることをおすすめいたします。

サニーサイドライフ

事業用不動産の買取・売却は、専門の私たちへ

テナントビル、区分店舗、店舗付き住宅、築古物件まで。
事業用不動産専門だからこそ提案できる出口があります。
査定や相場のご確認だけでも、お気軽にサイトをご覧ください。

買取・売却の詳細を見る →

bukken-kaitori.net

サニーサイドライフ

事業用不動産専門。テナントビル・区分店舗・店舗付き住宅・築古物件など、一般の不動産会社では扱いが難しい物件にも対応しています。オーナー様の出口戦略を、事業用に特化した視点でサポートいたします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別具体的な事案につきましては、税理士・弁護士など各専門家にご相談ください。