美容室を開業したいと考えていると、準備や資金、法律、規制などの取り決めがたくさんあり、不安になってしまいますよね。
なかでも、あまり馴染のない消防署関係の手続きは、初めての方にとっては大きな壁に感じるでしょう。
しかし、分からないからといって、消防署に関する手続きを怠るわけにはいきません。
そこでこの記事では、美容室を開業する際に必要な消防法に基づく必要な設備や手続き書類について詳しく解説します。
具体的な流れや注意点を理解すれば、美容室開業という夢に一歩近づけますので、ぜひこの記事を参考にして消防署への手続きを進めていきましょう。
美容室開業時に消防署が確認する3つの設備
美容室を開業する際には、消防署が確認する重要な設備として、以下の3つがあります。
- 消火設備
- 警報設備
- 避難設備
3つの設備は、万が一の火災時に安全性を確保するために欠かせません。それぞれの設備が適切に設置されていることが、消防署の許可を得るための必須条件になるため、しっかりと覚えておきましょう。
消火設備
美容室内で火災が発生した際に迅速に対応するため、消火設備は非常に重要です。消火器やスプリンクラーなどの屋内消火栓設備は、消防署による審査で必ず確認されます。
根拠法令である消防法では、「延べ面積が500平方メートル以上の施設」「延べ面積が1,000平方メートル以上の施設」など、美容室の規模に応じた屋内消火栓設備の設置基準が定められています。
美容室では化学薬品や可燃物が多く使用されるため、開業時の規模確認が特に重要です。
警報設備
警報設備には、身近な例として「非常ベル」があります。これは、火災の発生を迅速に把握し、適切な避難行動を促すために不可欠です。
特に煙感知器や火災報知器の設置は、消防署の審査基準の一つとされており、万が一の際には早期に警告を発する重要な役割を果たします。
根拠法令である消防法によれば、非常ベルの設置条件は「収容人員が20人以上」「収容人員が50人以上または地下及び無窓階の収容人員が20人以上」といった具体的な基準で定められていますので、これに注意して設置することが求められます。
避難設備
避難設備は、火災発生時に安全に避難するために必須で、避難口の明示や避難経路の確保は、消防署が特に重視するポイントです。
適切な避難設備が整っていることで、万が一のときに混乱を避け、速やかに安全な場所へ移動できます。
自身が開業する美容室の規模で、どのように申請すれば良いのか分からないときは、管轄の消防署に問い合わせして確認しましょう。
美容室開業で消防車に提出する2つの書類
設備が整ったら、美容室を開業する前に消防署へ提出が必要な書類が2つあります。
- 防火対象物使用開始届出書
- 防火対象物工事等計画届出書
上記の書類を正しく提出することが、消防署からの承認を得るためには欠かせないため、しっかりとどのような書類が必要なのかをみていきましょう。
ただし、各地域で書類が異なるケースがあるため、予め管轄地区の消防署へ確認しておくと安心です。
防火対象物使用開始届出書
防火対象物使用開始届出書は、施設が防火対象物として適切に使用されることを消防署に通知する重要な書類です。
美容室を開業するために新たに建物や家の一部を使用する場合に提出する必要があり、使用する7日前までに消防署へ届け出なければいけないので、必ず提出しましょう。
防火対象物工事等計画届出書
防火対象物工事等計画届出書は、美容室の改装や新設工事を行う際に必要な書類です。
この届出を提出することで、消防署は計画された工事が法律や規制に沿って行われるかを確認します。また、この書類も「防火対象物使用開始届出書」と同じように、新たに建物や家の一部を使用する場合に必要となる届出です。
ただし、「防火対象物工事等計画届出書」は開業前ではなく、工事を始める7日前までに消防署に届け出なければいけないので注意してください。
美容室の規模で異なる?追加で消防署に手続きが必要なこと
美容室の規模によっては、追加で次のような手続きが消防署で必要となる場合があります。
消防検査
消防検査は建物面積や構造が一定の基準を超えると、消防署で手続きを行い、受けなければいけない検査です。
消防検査では、開業予定地を管轄する消防署に「消防用設備等(特殊消防用設備等)設置計画届出書」を提出します。提出後、消防用設備の工事を完了させたら、「消防用設備等設置届出書」を提出しましょう。
消防署の担当者が開業する美容室に訪問し、消防用設備の適切な設置を確認後、検査に合格すると、「確認済証」が交付されます。
ただし、検査項目は消防署によって異なる場合があるため、事前に確認しておくといいでしょう。
防火管理者の任命
美容室を開業する際、収容人数が消防法の規定に該当する場合、防火管理者の任命を行いましょう。
しかし、防火管理者は誰でも任命できるわけではなく、資格が必要です。防火管理者の資格取得には、各都道府県が実施する防火管理講習を受講し、効果測定に合格する必要があります。
資格取得後、開業予定地を管轄する消防署に「防火・防災管理者選任(解任)届出書」と「消防計画」を提出しましょう。
基本、消防署の公式サイトからフォーマットをダウンロードできるので、簡単に届けられます。
ただし、防火管理者の資格は「甲種」と「乙種」に分かれ、建物の面積に応じて求められる資格区分が異なります。500㎡以上の場合は甲種、500㎡未満の場合は甲種または乙種が必要なため、不安な方は、事前に消防署に確認して準備を進めましょう。
まとめ
美容室を開業するときには、必ず消防署への手続きが必要です。開店に向けての工事段階で、消火設備や警報設備、避難設備の整備を必ず行いましょう。
防火設備は火災時の安全性を確保するために必須です。また、消防署には「防火対象物使用開始届出書」と「防火対象物工事等計画届出書」の提出が必要です。
規模によっては消防検査や防火管理者の任命も求められるため、事前に開業する管轄の消防署に確認し、必要書類を早めに準備することが大切です。
書類関連は面倒な部分ですが、安心して営業を始められるように、夢の実現に向けて進めていきましょう。