美容室開業時の物件選び：成功するためのポイントと注意点

2024-12-19

美容室の開業の際に、物件選びは成功の鍵となります。毎月の賃料や設備工事にかかるコスト、物件の立地や設備条件など、多くの要素を慎重に考慮して店舗用物件を選ぶ必要があります。

この記事では、美容室の物件選びにおける基本的なポイントから立地や物件タイプごとの特徴、さらに注意すべき点を詳しく解説いたします。

1. 立地条件：集客の成否を分ける大事な要素

立地条件は美容室開業後の集客に直結します。以下のような立地タイプを理解し、サロンのターゲット層やコンセプトに合ったものを選ぶことが重要です。

主な立地タイプとその特徴

立地タイプ	メリット	デメリット
住宅街	競合が少なく、リピーター獲得に有利	地域住民が主な顧客層になり、販促が限定的
商業エリア	人通りが多く、新規顧客の獲得に有利	賃料が高く、競合が多い
オフィス街	平日の集客が安定しやすい	土日祝日に人通りが減少しやすい

路面店の魅力と課題

路面店は視認性が高く、特に新規顧客の獲得に向いています。しかし賃料は高額で、特に都心部では中小規模の美容室が利用するのは難しい場合もあります。地方都市では比較的手頃な賃料で出店できるため、積極的に検討すると良いでしょう。

2. 美容室開業における物件の種類とその特徴

美容室開業の際、選ぶ物件の種類によって集客力や運営のしやすさ、コストが大きく変わります。ここでは、主な物件の種類と、それぞれのメリット・デメリットについて詳しくご説明いたします。

1. 路面店タイプ（建物の1階部分）

路面店タイプは、建物の1階部分に位置し、歩行者の目に留まりやすい物件です。

メリット

集客力が高い: 道を行き交う人々の目に入りやすく、新規顧客を獲得できるチャンスが多いです。
広告効果が大きい: 看板やファサード（入口周りの外観）のデザイン次第で、美容室の雰囲気やブランドを視覚的に伝えられます。
アクセスの良さ: エレベーターや階段を使わず直接入店できるため、顧客にとっても便利です。

デメリット

賃料が高い: 駅近くや人通りの多い立地では、賃料が非常に高額になる傾向があります。
内装工事費が高くなりがち: ファサードや外観を整えるための工事費がかさむことがあるため、開業資金に余裕が必要です。
日当たりの影響: 南向きや西向きの立地だと日差しが強く、カットスペースの鏡に光が反射するなどの問題が発生してしまう可能性があります。

注意点

契約時に、ファサード（入口部分）をどの程度変更できるか確認すること。制約が厳しい場合、十分な集客効果が得られないことがあります。
日当たりの方向に注意し、必要に応じてブラインドやカーテンで調整する対策を検討しましょう。

2. ビルインタイプ（建物の2階以上または地下にある物件）

ビルの中に入るテナントタイプで、路面店よりもコストを抑えやすい傾向があります。

メリット

賃料が比較的安い: 同じエリアでも路面店よりコストを抑えられるため、予算が限られている場合に適しています。
内装工事費が抑えやすい: 路面店ほど外観にこだわる必要がないため、工事費用を節約できます。
ターゲットを絞りやすい: あらかじめ美容室を知っている顧客が来店しやすい環境を作れるため、顧客層を限定しやすいです。

デメリット

新規顧客の集客が難しい: ビルの2階以上や地下では通行人の目に留まりにくく、広告効果が低いです。
導線の確保が必要: 店舗へのアクセスがエレベーターや階段のみの場合、店舗入口の案内や看板設置が欠かせません。
他テナントの影響: 同じビル内の他テナントが飲食店や金融機関の店舗である場合、臭いや客層が美容室のイメージに影響する可能性があります。

注意点

看板を路面に設置できるかを契約時に確認しましょう。導線が明確でないと集客力が大幅に低下します。
他のテナントの業種や客層をしっかり調べ、美容室の雰囲気と合うかを検討してください。

3. 商業施設タイプ（ショッピングモール内などの店舗）

商業施設内にある店舗は、訪れる人の多さや集客力が特徴的です。

メリット

集客力が高い: 商業施設内の他のテナントの集客効果を活用でき、多くの顧客を取り込むチャンスがあります。
販促効果が高い: 人通りの多い通路に面した立地に店舗を開業できる場合、広告効果が非常に大きいです。
顧客層の幅広さ: 施設内に訪れる多様な年齢層や性別の顧客をターゲットにできます。

デメリット

維持費が高い: 商業施設の運営管理費や売上に応じた歩合が発生する場合があり、店舗の運営コストが増えやすいです。
営業時間の制限: 商業施設の営業時間に合わせる必要があり、自由度が低いことがあります。
内装規制が厳しい: 商業施設側の基準に従うため、内装やレイアウトの自由度が低くなることがあります。

注意点

契約時に営業時間や店舗内装の規定を確認し、美容室の営業スタイルと合致しているかを確認しましょう。

4. ロードサイドタイプ（主要道路沿いの物件）

ロードサイド店舗は、車で訪れる顧客が多い地域で見られる物件です。

メリット

賃料が安い: 人通りの多い駅周辺や市街地に比べて、賃料が低い傾向があります。
駐車場が確保しやすい: 店舗に車で来店する顧客をターゲットにできるため、地方や郊外で有効です。
ターゲット層の限定が可能: 自家用車を利用している顧客を中心に集客でき、ターゲット戦略を組みやすいです。

デメリット

集客の幅が狭い: 駅近くや街中の物件に比べ、徒歩で来店する顧客が限られるため、新規顧客の獲得が難しい場合があります。
交通手段が限定される: 車を持たない顧客には不便であり、特定の層への訴求力が低下します。
外構工事費がかかる: 駐車場や看板の設置が必要な場合、追加の工事費用が発生することがあります。

注意点

美容室の周辺環境を確認し、主要道路からの視認性やアクセスの良さを考慮しましょう。

物件の種類によって、美容室運営の方向性やコストが大きく変わります。それぞれの特徴を理解したうえで、ターゲット層やサロンのコンセプトに合った物件を選ぶことが成功への鍵となります。

3. 建物の構造や設備チェックポイント

美容室は特に電気や水回りの使用頻度が高いため、物件選びの段階で以下の設備に注意してください。

水回り：シャンプー台や排水設備がスムーズに使えるか確認。
電気容量：ドライヤーやその他の美容機器を同時に使用できる電気容量があるか。
換気設備：パーマやカラーリングで使用する薬剤の匂いを外に排出できる換気設備が整っているか。

4. 物件の階層別の特徴と注意点

路面店（1階+2階）

メリット：通行人への視認性が高く、広告効果が期待できる。
注意点：入り口のデザイン（ファサード）をどこまで変更可能か契約時に確認。特に太陽の向きも重要で、北向きが理想とされています。

半地下・2階

メリット：賃料が抑えられる場合が多い。
注意点：看板の設置場所や店舗への導線が明確になっているか事前に確認。エレベーターの有無や階段のアクセスも重要。

3階以上

メリット：賃料が低い、静かな環境で特定層の顧客を集めやすい。
注意点：他のテナントの業種によって、集客に影響を与える可能性があります。居酒屋や金融系オフィスの隣接には注意が必要です。

5. 契約内容と費用に関する確認事項

物件契約時には以下の費用や契約条件をしっかり確認しましょう。

項目	説明
保証金・敷金	家賃滞納時の担保や修繕費用として預ける金額。退去時に返金される場合が多い。
礼金	管理会社や大家へのお礼金で、返金不可。物件ごとに金額が異なる。
仲介手数料	不動産会社への手数料。契約時にまとめて支払う必要がある。
原状回復義務	退去時に物件を元の状態に戻す費用。