ホットペッパービューティーは、美容室の検索や予約に利用されるサイトとして多くの人に知られています。新規顧客を獲得するための有力なツールとされていますが、掲載していない美容室も少なくありません。「以前は掲載していたが、現在は掲載を止めた」という店舗もあります。
ここでは、具体的にどの程度の美容室がホットペッパービューティーに掲載しているのか、また掲載をしない理由やメリット・デメリットについて詳しく解説します。
全国美容室のホットペッパービューティー掲載率
まずは全国の美容室がホットペッパービューティーをどれくらい利用しているのかをみてみましょう。
美容室の総数と掲載数
令和元年時点で、日本全国には約25万軒の美容室が存在しているとされています。この数はコンビニエンスストアを大幅に上回る規模です。しかし、ホットペッパービューティーに掲載されている美容室は約5万店舗に過ぎません。これは全国の美容室の約20%にあたります。
「もっと多くの店舗が掲載されていると思った」という声もありますが、この掲載数でもホットペッパービューティーのブランド力は非常に高いといえます。リクルートが長年にわたり広告やプロモーションに力を入れた結果、多くの人に「美容室探し=ホットペッパービューティー」という認識が根付いていることが要因です。
掲載していない店舗への誤解
美容室経営者の中には「掲載しないのは自分の店舗だけなのでは?」と心配される方もいます。しかし、実際には全国の美容室の5分の4がホットペッパービューティーを利用していないのが現状です。この事実を知ることで、掲載しない選択をしたとしても過度に不安を感じる必要はないでしょう。
地域別の掲載状況
また、地域によっても掲載率には違いがあります。都市部では集客効果を求めて掲載する店舗が多い一方、地方では地元密着型で口コミや常連客を中心に集客している美容室が多く、ホットペッパービューティーに依存しないケースが見られます。
美容室がホットペッパービューティーに掲載しない理由
一方、ホットペッパービューティーを使っていない美容室もあります。では具体的にどういった理由で使わないのでしょうか。
広告費の負担が大きい
ホットペッパービューティーに掲載するには、広告費が必要です。特に有名サロンでは月に数十万円の広告費を支払うケースもあり、中には50万円以上かかる場合もあります。一人経営や小規模経営の美容室にとって、月に10万円の負担でも経営を圧迫する可能性があります。
また、広告費用を増やさなければ掲載順位が下がる仕組みになっており、低額のプランでは効果が限定的となることも考えられます。
無断キャンセルのリスク
ホットペッパービューティーの利便性の一つに、ネットから簡単に予約ができる点があります。しかし、その手軽さゆえに無断キャンセルが発生しやすいという問題もあります。特に新規顧客に多い傾向があり、予約をしたまま来店しないケースや、別日に再予約を繰り返す事例もあります。
無断キャンセルが発生すると売上の損失だけでなく、他の顧客が予約できなかった分の機会損失も生じます。これを避けるために、あえてホットペッパービューティーに掲載しない選択をする美容室も存在します。
ネット予約手数料の負担
ホットペッパービューティー経由での予約には、売上の2%を手数料としてリクルートに支払う必要があります。常連客が電話予約からホットペッパービューティー経由に変えた場合でも、手数料が発生します。これに広告費を加えると、毎月の経費負担がさらに大きくなるため、コスト面から掲載を見送る店舗が多いのです。
自社集客の可能性を重視
一部の美容室では、自社での集客やSNSを活用したプロモーションに力を入れています。これにより、ホットペッパービューティーに依存せずに安定した顧客を確保することを目指しているケースもあります。SNSやGoogleマップ、ホームページを活用することで、より直接的で持続的な顧客関係を築くことが可能です。
ホットペッパービューティーに掲載しないメリット
経費負担が軽減される
広告料や手数料の支払いが不要になるため、経費を大幅に削減できます。一人経営の美容室では、このコスト削減が大きなメリットとなります。
業務負担が減る
ホットペッパービューティーに掲載すると、以下の業務が発生します:
- 口コミへの返信
- ブログやクーポンページの更新
- 予約管理システムの操作
これらの作業には多くの時間と労力が必要です。掲載を止めることで、日々の業務負担が軽減され、本業に集中できるようになります。
客単価とリピート率の向上
ホットペッパービューティーでは新規限定クーポンが多く利用され、価格が安く設定されるため、客単価が下がることがあります。一方、掲載を止めることで正規料金を支払う顧客だけを対象とするため、客単価が上昇します。割引目的で来店する新規顧客よりも、サロンの技術や雰囲気を重視するリピーターが増える可能性があります。
独自性の維持
「ホットペッパービューティーに掲載されていない特別感」を演出することで、他店との差別化を図ることができます。一部の顧客には、「隠れ家的なサロン」というイメージが支持され、コアなファン層を獲得しやすくなるでしょう。
長期的な顧客との関係構築
直接の口コミや地元での評判を基に集客することで、長期的にサロンを利用してくれる顧客との関係を深めることが可能になります。これは広告媒体に依存する短期的な集客とは異なる利点です。
ホットペッパービューティーに掲載しないデメリット
新規顧客の減少
ホットペッパービューティーの知名度は非常に高いため、掲載を止めると新規顧客の獲得が難しくなる可能性があります。特にSEO対策が不十分な場合、ネット検索で上位表示されることが難しくなります。
ネット予約システムの整備が必要
ホットペッパービューティーを利用しない場合、独自の予約システムやSNSを活用して予約環境を整備する必要があります。これには追加のコストや手間がかかります。
業務の自主管理が求められる
ブログやクーポンの更新、予約管理など、ホットペッパービューティーが代行していた業務を自分で行う必要があります。これにより、業務の負担が増える可能性があります。
広告効果の即効性が失われる
ホットペッパービューティーは、新規顧客を即座に獲得できる点で非常に効果的な媒体です。掲載をやめると、短期的に集客を増やす手段が限られるため、集客に時間がかかる可能性があります。
まとめ
ホットペッパービューティーは、多くの美容室にとって新規顧客を獲得するための有力なツールであり、その知名度や影響力は非常に大きいものです。一方で、一人経営や小規模経営の美容室では、広告費や業務負担の観点から掲載を見送る選択肢も一般的です。
掲載しない場合でも、経費削減や独自性の維持などのメリットを活かしながら、SNSや自社予約システムを活用して、顧客との直接的な関係を強化する戦略が重要です。
経営者は、自身のサロンの方針や顧客層に合わせて、ホットペッパービューティーへの掲載の可否を慎重に検討する必要があります。どちらを選択するにしても、自分のサロンの強みを明確化し、それを最大限に活かす運営を心がけることで、長期的な成功につなげることができるでしょう。